こんばんは。今回は「開花してほしかった選手シリーズ」。ポストプレーの職人として注目を集めたビッグマン、ジャリル・オカフォーを紹介します。
ジャリル・オカフォーのキャリア
ジャリル・オカフォーは高校時代から将来のNBAスターとして高く評価されていたセンターです。5つ星評価を獲得し、2014年の全米No.1ビッグマンリクルートとして名門デューク大学に進学。すでに「次世代の支配型センター」としての期待を背負っていました。
大学1年目(2014-15シーズン)はすぐにチームのエースとして活躍し、平均17.3得点、8.5リバウンド、1.4ブロックという安定した数字を残しました。パワフルかつスムーズなポストスキルで得点を量産し、チームをNCAAトーナメント優勝に導く立役者に。フレッシュマンながらACC年間最優秀選手賞を受賞し、2015年のNBAドラフトでは全体3位でフィラデルフィア・セブンティシクサーズに指名されました。
オカフォーはルーキーシーズン(2015-16)でいきなり存在感を発揮。53試合に出場し(48試合に先発)、平均30.0分の出場で17.5得点、7.0リバウンド、1.2ブロックと申し分ないスタートを切りました。特にポストアップからのスコアリング能力はルーキー離れしており、「これは20得点コンスタントに狙えるセンターになる」と期待されました。
しかし2年目(2016-17)以降、状況は一変します。まずのちのシーズンMVPになるエンビードの台頭により、出場機会が減少。さらにチームが「ペース&スペース」重視の現代的なスタイルにシフトしたことで、オカフォーのような低速ポスト型センターは戦術から浮き始めます。平均得点は11.8、リバウンドは4.8と大きく数字を落とし、ローテーションからも外れる時間が増えていきました。
2017-18シーズン途中にはブルックリン・ネッツに移籍。そこでのチャンスも限定的で、平均6.4得点、2.9リバウンドにとどまり、「スター候補」から「再起を図る若手」へと立場が変化していきます。
その後ペリカンズ(2018-2020)、ピストンズ(2020-21)と所属を移すも、出場機会とともに期待値も徐々に下降。どのチームでもポストプレー以外の貢献(スペーシング、守備、展開力)に限界があり、2021年を最後にNBAでのプレー機会はなくなっています。
生まれる時代を間違えた伝統派ビッグマン
ジャリル・オカフォーの最大の魅力は、まさに「古き良きポスト職人」そのものでした。ピボットを駆使したフットワーク、左右両手でのフィニッシュ、フェイクからのジャンパーなど、テクニックだけで点が取れるスキルセットは当時の若手では稀有な存在でした。
しかし、NBA全体の潮流は真逆へ。センターにもストレッチ性(3P)と守備範囲の広さが求められるようになり、オカフォーのような“ポスト偏重”型のセンターは「使いづらい選手」として敬遠されがちに。ディフェンス面の課題(特にP&R対応)も改善されることなく、近代バスケとのミスマッチが開花の妨げとなってしまいました。
ジャリル・オカフォーのベストゲーム
彼のベストゲームは、2016年2月21日のダラス・マーベリックス戦です。この試合でオカフォーはキャリアハイの31得点、8リバウンド、1ブロック、1スティールと大活躍。試合には大差で負けてしまいましたが、ポストプレーから繰り出されるスムーズなムーブとタッチは、まさに「伝統派センターの美学」を体現する内容でした。
終わりに
いかがだったでしょうか。ジャリル・オカフォーは、まだ29歳(※2025年時点)。ポストスキルという「絶対に失われない武器」を持っている選手です。NBAの潮流には乗れなかったかもしれませんが、「ポストムーブで観客を唸らせる選手」が再評価される日が来るかもしれません。どうやら、レバンガ北海道と契約したみたいなので、元NBA選手のポストムーブが見たい人はぜひレバンガの試合を見に行ってください。多分格が違いますよ(笑)。
といったところで、今回はこの辺で。それでは💤
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